1.RPA導入の拡大とリスクの有無
昨今の人手不足の影響もあり,RPAの導入の勢いが益々加速しています。国の成長戦略,いわゆる骨太でも,自治体への導入とその期限・数値目標が設定される見込みであることなど,いわゆるオフィスワークの効率化が喫緊の課題になっていると言うことができるのです。
RPAは,オフィスのコンピュータ上での業務を自動化する,というもの。銀行などを含め,多くの企業で導入され,実際に成果も見えています。
では,RPAを導入することに,リスクは全くないのでしょうか? もちろんそんなことはありません。リスクはあるのです。ただし,そのリスクを正しく理解した上で必要な対策を取りさえすれば,その多大なメリットを享受することができると言えます。
2.RPA導入におけるリスク1 ~ RPAによる処理が停止するリスク
RPAは,コンピュータによって稼働するものですから,電力を必要とします。つまり,電力が供給されなければRPAの処理はまわらない,ということになります。同じように,その処理が止まる可能性として,システム障害があります。
このようなリスクは,あらゆるITシステムで共通するものではありますが,ITシステムの「処理の停止」に対して,一般のオフィスワーカーの意識が高いわけではありません。RPAはインストールして利用するようなタイプもある,ある意味では小規模システムであるため,「処理の停止」に対する対策を,利用する現場で立てないまま,導入・利用してしまうケースが考えられるのです。
「処理できているはずなのに,処理が停止していた。その後の業務が滞留してしまった。」というようなことがないよう,「処理の停止を検知できるしくみ」や,自家発電などを含む「電力供給が止まらないしくみ」,場合によっては,「RPAを使わない場合のリカバリ処理ルート」を準備しておく必要があるでしょう。
3.RPA導入におけるリスク2 ~ 誤った処理の実行リスク
RPAは,システム上のエラーがなければ,その処理を続行します。つまり,処理に必要なデータが用意され,システムが稼働できるよう手順化されていれば,処理そのものは続けるのです。
このことは,2つの大きなリスクをはらんでいます。
その一つは,例外処理です。たとえば,「万に一つ起こるようなもので,そのときだけは,特別な対応をしているような業務」の場合でも,それをRPAに実装しておくか,処理が止まるようにするか,いずれかの対応ができるようにしておく必要があるのです。
もう一つは,他のシステムの仕様変更です。RPAは,コンピュータ上で行うあらゆる業務の「操作」を覚えさせ,利用する。つまり他のシステムに対する,コンピュータ上で行う「実行指示」などができます。では,実行指示を受ける側のシステムに変更があった場合,どんなことが起こるでしょう? 指示を受けた側のシステム処理が止まってしまうならまだしも,誤った処理をしてしまった場合,その後の業務すべてに誤った情報を流してしまうことになるのです。
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続く
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